沈没船の引き上げ方法と費用は?法律との関係や注意点などについて解説します。
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沈没船が引き上げ可能かの判断基準
| 判断基準 | 内容 |
| 水深 | 浅いほど引き上げ可能性が高い。一般に港内・沿岸の浅所は対応しやすい |
| 船の大きさ・重量 | 小型船・プレジャーボートは可能性が高く、大型船は工法と費用次第 |
| 船体の損傷状況 | 原形を保っているほど可能。破断・崩壊が激しいと困難 |
| 沈没場所 | 港内・係留施設内は作業しやすく、沖合や航路上は制約が多い |
| 浮力確保の可否 | 排水・エアバッグ等で浮力を回復できるかが重要 |
| 環境・安全条件 | 油流出、潮流、天候、作業安全の確保可否 |
| 法的・管理者判断 | 港湾管理者・海上保安庁の指示や撤去命令の有無 |
沈没船の引き上げ可否は、まず水深と場所が大きな判断材料となります。
港内や係留施設周辺など浅い海域では、クレーン船や浮力体を使った引き上げが現実的です。一方、沖合や深所では作業難度と費用が急増します。
次に重要なのが船体の損傷状況で、船体が原形を保っていれば排水やエアバッグによる浮上が可能ですが、破断・崩壊している場合は解体撤去が選択されることもあります。
さらに、沈没船は航行障害や環境汚染の恐れがあるため、港湾管理者や海上保安庁の指示が優先され、技術的に可能でも引き上げではなく撤去が求められる場合があります。
総合的に、技術・費用・安全・法的要請を踏まえて判断されます。
沈没船の引き上げ方法6つ

沈没船(船舶の海底沈没後)の引き上げ(サルベージ)には、状況や船体の状態に応じて複数の方法があり、単独で使うほか組み合わせることもあります。
以下に主要な方法ごとにステップを整理して説明します。
①クレーンで引き上げる
この方法は水深が浅めの港湾や沿岸でよく使われます。
(1)現場調査
沈没位置や水深・船体状態を確認する。海上保安庁などへの許可申請も含めて調査を行う。
(2)ワイヤー・係留準備
船体にワイヤーや吊り具を取り付け、起重機船(クレーン搭載船)側へ連結する。
(3)荷重・バランス管理
分散させた吊り点から均等に引き上げられるよう調整する。
(4)引き上げ
クレーンで船体を海面へ持ち上げ、浅瀬や作業エリアへ移動する。
②浮力体・エアバッグを利用する
この方法は、構造が比較的健全な船体に効果的で、小〜中規模の沈没物の引き上げに使われます。
(1)水中取付
潜水士またはROVで船体周囲に複数の大型エアバッグを固定する。
(2)膨張・浮力獲得
バッグを膨らませて浮力を付与し、船体全体を持ち上げる。
(3)浮上誘導
浮かせた船体を水面へ誘導し、その後曳航・引き上げ作業へ移行する。
③船内排水・気密区画を利用する
この方法は船体がまだある程度形を保っている場合に用いられます。
(1)浸水箇所の補修
潜水士やROVで浸水部分を封じ、気密区画を形成する。
(2)排水作業
船内の水をポンプで排水して浮力を回復させる。
(3)浮上・曳航
自力浮力が回復した状態で水面へ浮かせ、曳航・引き上げ。
④分解・部分撤去する
破損が激しく全体を一度に引き上げられない大型船などに適します。
(1)損傷箇所特定と計画立案
水中で船体を細分化してどう撤去するかを計画する。
(2)水中切断
特殊工具やカッターで船体を分割する。
(3)部分引き揚げ
分割した各部材を順次引き上げ、陸上で再処理・処分する。
⑤足場・埋立支援を使う
この方法は浅瀬やビーチ近くの座礁船撤去で活用します。
(1)足場設置
陸上や浅瀬にアンカー・設備を設置し、ワイヤを展開。
(2)引き出し
複数の引張装置で船体を岸へ引き出す。
⑥特殊装置を使って深海回収する
これはは深海や特殊任務用の高度なシステムです。
(1)ロープ/ライン設置
ROV(遠隔操縦無人潜水艇)で沈没物にラインや固定点を設置。
(2)補償装置装着
装置を使って伸縮補償しながら牽引。
(3)引き揚げ
深海層から昇降しながら引き揚げる。
沈没船の引き上げ費用
引き上げ方法別に費用の目安を説明します。ケース別の目安も示しています。
①クレーンで引き上げる費用
港内・沿岸の浅場で一般的な方法です。クレーン船のチャーター費(1日)+人件費+現場準備費で計算します。
港内であっても、クレーン船は最低出動費だけで100万円前後になることが多く、短時間作業でも高額になります。
| 小型船・プレジャーボート | 80万〜300万円 |
| 漁船・中型船 | 300万〜1,000万円超 |
②浮力体・エアバッグを利用する費用
船体にエアバッグを装着し、浮力で浮上させる方法です。潜水作業・資材費・技術料がかかるため、クレーン単独より高額になる傾向があります。
船体が比較的健全でないと成立しないため、事前調査費用も含まれます。
| 小〜中型船 | 200万〜800万円 |
| 船体が重い・複雑な場合 | 1,000万円超 |
③船内排水・気密区画を利用する費用
船体内部を補修し、排水ポンプで水を抜いて浮上させる方法です。潜水士作業+補修+排水管理が主なコストになります。
気密確保が困難な場合は途中で断念し、別工法に切り替えることもあります。
| 比較的小型・軽度損傷 | 50万〜500万円 |
| 損傷が大きい場合 | 800万円以上 |
④分解・部分撤去する費用
船体が破損して一体で引き上げられない場合の方法です。水中切断・引き揚げ・陸上処理まで含まれるため高額化しやすいのが特徴です。
| 中型船 | 1,000万〜5,000万円 |
| 大型船・複雑な場合 | 1億円超 |
⑤足場・埋立支援を使う費用
浅瀬・岸近くで座礁・沈没した船を陸側に引き出す方法です。
費用構成は、仮設足場・アンカー設置、ウインチ・ワイヤー設備、人件費・撤去費、になります。
| 小型船・浅瀬 | 100万〜400万円 |
| 地形が悪い場合 | 500万〜800万円 |
⑥特殊装置を使って深海回収する費用
深海・沖合での沈没船引き上げは、高額です。ROV・大型クレーン・長期調査が必要になります。
| 数十m〜深海 | 数億円 |
| 知床観光船事故の場合 | 約10億円 |
| 宮古島沖陸自ヘリ航空事故の場合 | 約10億円 |
沈没船を放置するとどうなる?法律・罰則は?

沈没船は、単なる「私有物の事故」ではなく、航行安全・港湾管理・環境保全の観点から問題視されます。
特に港内や航路付近に沈没した場合、放置は原則認められず、所有者には撤去義務が生じます。
放置を続けると、行政指導→命令→行政代執行へと段階的に進み、最終的には高額な費用請求や罰則リスクにつながります。
①港湾法・港則法
港内や港湾区域で沈没船がある場合、港湾法および港則法に基づき、港湾管理者(自治体等)や海上保安庁が対応します。
沈没船が航行の妨げや港の利用に支障を与えると判断されると、所有者に対して撤去命令が出されます。
この命令に従わない場合、管理者側が代わりに撤去する「行政代執行」が行われ、その費用は全額、所有者に請求されます。
②海上交通安全法・海上衝突予防法
沈没船が航路上にある場合、海上交通安全法や海上衝突予防法の観点からも問題になります。
航行障害物を放置することは、二次事故を誘発する危険行為とみなされ、関係機関から速やかな対応を求められます。特にブイ設置や警戒表示を怠ると、管理責任を問われる可能性があります。
③海洋汚染防止法
沈没船から燃料油・潤滑油・有害物質が流出した場合、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)の対象となります。
たとえ事故で沈没した場合でも、汚染防止措置を講じる責任は原則として所有者にあります。
放置によって環境被害が拡大すると、行政指導だけでなく、刑事責任や損害賠償問題に発展することもあります。
沈没船の引き上げの流れ
ステップ①事故発生後の初動対応・関係機関への連絡
沈没が発生した場合、まず人命の安全確保を最優先し、必要に応じて海上保安庁や港湾管理者へ連絡します。
港内や航路付近では航行安全や油流出の恐れがあるため、所有者は速やかな報告が求められます。
この初動対応が遅れると、後の引き上げ作業や費用負担、保険適用に影響することがあります。
ステップ②現地調査・引き上げ可否の判断
次に専門業者が現地調査を行い、水深、沈没位置、船体の大きさや損傷状況を確認します。
潜水士や水中カメラを用いて船体の状態を把握し、「そのまま引き上げ可能か」「分解や別工法が必要か」を判断します。
この調査結果が、工法選定と費用見積の基礎になります。
ステップ③引き上げ方法の選定・見積
調査結果をもとに、クレーン引き上げ、エアバッグ方式、排水による再浮上、分解撤去など、最適な方法を選びます。
同時に、作業日数、人員、機材、必要な許認可を踏まえた見積もりを提示します。
港湾管理者の指示や環境対策の有無によって、計画内容が調整されることもあります。
ステップ④関係機関への届出・作業準備
引き上げ作業に入る前に、港湾管理者や海上保安庁との調整、必要な届出・許可取得を行います。
その後、クレーン船の手配、潜水作業の準備、油回収資材の配置など、現場作業の安全確保と環境対策を含めた準備が進められます。
ステップ⑤引き上げ作業の実施
準備が整った後、実際の引き上げ作業を行います。ワイヤーや浮力体を船体に固定し、バランスを調整しながら慎重に浮上・引き揚げます。
作業中は天候や潮流の影響を受けやすく、状況次第では一時中断や工程変更が行われることもあります。
ステップ⑥引き上げ後の処理・完了
引き上げ後は、船体の陸揚げ、修理、解体処分、保管などの処理が行われます。また、油や汚染物質が確認された場合は清掃・環境回復作業も実施されます。
すべての工程が完了し、関係機関への報告を終えて初めて引き上げ対応は完結します。
沈没船引き上げのよくある質問

Q1. 引き上げにはどれくらい時間がかかる?
沈没船の引き上げにかかる期間は、船の大きさ・沈没場所・工法・許可手続きの有無によって大きく異なります。
小型船が港内の浅い場所に沈没した場合、現地調査から引き上げ完了まで数日〜1週間程度で終わることもあります。
一方、沖合や損傷が大きいケースでは、事前調査・関係機関との調整・作業準備に時間を要し、数週間〜数か月かかる場合もあります。実際の期間は現地調査後に確定します。
Q2. 夜間・緊急対応は可能?
沈没直後の緊急対応や初動対応は24時間体制で相談可能なケースがあります。
ただし、実際の引き上げ作業を夜間に行うかどうかは、安全性や港湾管理者の指示によって判断されます。
夜間は視界不良や作業リスクが高いため、応急措置(油流出防止・ブイ設置など)のみ実施し、引き上げは日中に行うことが一般的です。完全な夜間作業は限定的です。
Q3. 台風・事故時はどうなる?
台風や荒天時は、作業員の安全確保が最優先となるため、引き上げ作業は原則中断・延期です。特に台風接近時は、二次被害を防ぐために基本的に作業を見送ります。
一方で、沈没直後の事故対応として、油流出防止措置や航行警戒の設置などの緊急対応を先行して行うことがあります。
まとめ
沈没船の引き上げは、放置すると法的責任や高額な撤去費用につながる一方で、状況に応じた適切な対応を行えば、安全に解決することが可能です。
ただし、水深や船体状況、港湾管理者との調整など、専門的な判断が欠かせません。
当社では、沈没船の引き上げ作業や引き上げ後の解体まで対応しています。沈没直後の緊急相談にも対応可能ですので、「引き上げが可能か分からない」「費用感を知りたい」といった段階でも、まずはお気軽にご相談ください。

